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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送台湾ソフトパワー - 2021-11-23_「台南卓越市民賞」を受賞した陳耀昌さんと林宗源さん

  • 23 November, 2021
台湾ソフトパワー
「第11回 台南文学賞」で「台南卓越市民賞」を受賞した小説「傀儡花(日本語タイトル:フォルモサに咲く花)」の作者・陳耀昌さん。(写真:CNA)

今月、台湾南部・台南で「第11回 台南文学賞」の授賞式が行われ、小説「傀儡花(日本語タイトル:フォルモサに咲く花)」の作者、陳耀昌さんと、台湾語詩人の林宗源さんが「台南卓越市民賞」を受賞しました。

陳耀昌さんの「傀儡花(フォルモサに咲く花)」と言えば、今年(2021年)話題となった台湾版“大河ドラマ”と言われている「斯卡羅(スカロ)」の原作です。

その陳耀昌さん、作家でもありますが、実は台湾の有名な血液疾患の専門家でもあります。

1949年台南に生まれた陳耀昌さん。台南一中を卒業後、国立台湾大学医学部医学科に進みます。

卒業後は台湾大学付属病院で血液および腫瘍内科の医師を30年務めました。

陳耀昌さんは、台湾における骨髄移植の先駆者で、1983年に台湾で最初の自家骨髄移植に成功しました。そして台湾で骨髄バンクの設立を推し進めました。これによって、数えきれないほどの血液疾患の患者が恩恵を受けただけでなく、台湾における幹細胞医学のパイオニアでもあります。

その一方で作家という顔も持つ陳耀昌さん。

1867年に台湾最南端の地で起こった「ローバー号事件」を軸に、台湾における多様なエスニックグループの融合のプロセスを描いた「傀儡花(フォルモサに咲く花)」や、かつて台湾の原住民族の一つパイワン族が設立した首長国「大龜文」について紹介した小説「獅頭花」などが有名で、それぞれ、台湾文学賞、台湾歴史小説賞を受賞しています。

でも医学を勉強した理系男子がどうして歴史に夢中になったのか…と思う人も少なくないようですが、“理系男子”というワードを聞いて陳耀昌さんは笑いをこらえきれない感じで、「数日前に何をもってして“文学青年”というのかを考えていた。私が思うに、“文学青年”とは2種類あって、1種類は本を読むだけで文章を書かないタイプ。もう1種類は文章を書けるタイプ。“理系男子”は前者の書かないタイプが多いというだけだ」と語っていました。

ちなみに陳耀昌さんは、自身が優れた作家だとは思っておらず、単に本を読むことが好きだったそうです。

文学好きなのには彼の生い立ちも少なからず関係していて、彼の父親は開業医、母親は日本に留学した薬剤師で後に高雄女子高校で化学を教えていて、教育熱心な家庭ともいえます。

そして台南の住む家からは100メートルほどのところに本や新聞の売店がたくさんあり、近くには劇場やレコード店があって、文学や芸術に触れる機会が多くありました。

陳耀昌さんは、「実は、母親に外交系の勉強ができないかと相談したことがあるが、父が医者だし、医学の勉強もそれほど嫌ではなかったので、台湾大学の医学部に行った」と語っています。

小さい頃から勉強に対するプレッシャーや負担はなかったそうで、「勉強はあまり真面目でなく、いつも窓の外を眺めたり、歴史小説や海外の小説を読んだりしていた。新潮文庫の本を片っ端から読んだ。私が幸運なのは、本を買うお金があったという事だ」と話していました。

人生の前半では医学の修行と世のために奔走し、晩年は台湾の歴史に夢中になり、陳耀昌さんの辞書には“リタイア”という言葉はないようです。

今回、そんな陳耀昌さんに、医学領域での卓越した貢献の他、今年(2021年)、小説「傀儡花(フォルモサに咲く花)」を原作とした“台湾版大河ドラマ”「斯卡羅(スカロ)」が放送され、より多くの若者が台湾の近代史に興味を持つきっかけとなったことなどから、この度「台南卓越市民奨」が贈られました。

陳耀昌さんは、この「斯卡羅(スカロ)」が人気となっていることをとても喜んでいて、より多くの人が台湾の歴史や、自身の家族の歴史を知り、改めて台湾の独自性や他民族の融合による強靭性を改めて理解し、自由民主そして法治という共通の価値観を追求することを望んでいるとしています。

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そして「台南卓越市民賞」を受賞したもう一人、台湾語詩人の林宗源さん。

林宗源さんは、台湾の文学組織「台灣筆會(台湾ペンクラブ)」や、台湾語の詩のサークル「蕃薯詩社」の創設者の一人であり、戦後の台湾語詩の先駆者の一人でもあります。

台湾文学界では「台湾語詩の父」と呼ばれています。

1970年代から母語で詩を書くことを提唱し、1990年代以降は台湾語で詩を書く運動に力を注いできました。

そんな林宗源さんの書く詩は、書き始めた初期のころから、自分の存在する土地にこだわり、強い思いを表現し、「台湾語文学は台湾文学である」という事を強調してきました。

そのような功績が認められ、このたび「台南卓越市民賞」の受賞となりました。

黃偉哲・台南市長は、この「卓越市民賞」の授与は、先輩作家のモデルと、文学の継続性と伝承にスポットを当てるためだとしています。

なお、「台南文学賞」は文学作品の創作を奨励し、文学作品の鑑賞と執筆を促進し、文学的才能のある作家を見出して育成。台南文学の特色を確立することを目的に作られた賞で、今年(2021年)は、715件と過去最多のエントリーがあり、その中から、10の部門で合計55の作品が表彰されました。

表彰された作品は、今後、書籍として出版される予定となっています。

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