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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送文化の台湾 - 2021-09-03_邵族の祖靈祭「 Lus’an」

  • 03 September, 2021
文化の台湾
杵でつく“杵音”は邵族を代表する音楽で、リズミカルで美しい音色が響く(写真:過去にイベントで披露された時の様子/CNA)

台湾のお盆月「鬼月」も9月6日に鬼門が閉じて終了となります。

この時期、「鬼」というワードを言うことすらも嫌がる台湾の人たちは、ようやく今年も「鬼月」が終わる…と、各地で、ご先祖様の霊や、「好兄弟」と呼ばれる無縁仏たちをあの世へ送り出すための儀式を行ったりします。

そんな、この鬼門が閉じる頃、旧暦の8月29日から9月3日かけて、台湾中部・南投では、邵族(サオ族)の先祖の霊を祀る祖靈祭「Lus’an」が行われます。

この邵族とは、現在、台湾が公式に認定している16の原住民族のうちの一つで、多くは台湾中部・南投県にある景勝地、日月潭(サンムーンレイク)のほとりにある日月村と水里郷頂崁村に住んでいます。総人口は800人にも満たない、台湾で最小の原住民族群とされています。

その邵族は、先祖の霊に対する信仰が深くその影響や、自然への畏怖の念から、伝統的な祭りとして “種まき祭り”、“除草祭り”、“狩猟祭り”、“先祖の霊を祀る祭り”があります。

そのうちの“先祖の霊を祀る祭り” のことを祖靈祭「 Lus’an」と言います。この「Lus’an」とは邵族の言葉で“新年”を意味していて、邵族の祖靈祭は、すなわち邵族の新年を迎えるお祭りでもあります。1年で最も重要な祭りとされていて、最も盛大に行われます。

なお、この「Lus’an」では、先祖を祀り先祖に祝福を祈るとともに、他の部族など外からやってきた人の受け入れの儀式や、成年の通過儀礼の意味もあり、邵族の文化を次の世代に伝承していきます。

邵族は漢民族の文化を強く受けている種族ではありますが、「祖靈籃」を祀る祖靈の伝統は独特で、今でも受け継がれています。

この「祖靈籃」は、一般には、「公媽籃」と呼ばれています。

公媽は、台湾最大の方言、台湾語では、「祖先、先祖」の意味です。つまり「先祖の籠」という意味です。

これは、籐と竹で編んだ、丸口もしくは四角い口をした“四つ足”のある籠で、その中に、先祖代々の伝統衣装と装飾具を収めてあります。その籠は家族の平和を保証するもので、各種の儀式やお祭りには各家から外に持ち出されます。ただ、勝手に動かしてはいけません。親族と「先生媽」と呼ばれる女性の司祭だけが触れることができます。そして邵族の人たちは、この「先生媽」を通じて籠の中のご先祖様とコミュニケーションをとるというわけです。

“先祖の霊を祀る祭り” 祖靈祭「 Lus’an」でももちろんこの「公媽籃」が登場します。

では「 Lus’an」ではどのようなことが行われるのかというと、まず旧暦の7月の最後の日、つまり“大みそか”にあたる日、邵族の人たちが、大小の杵で石板を打って音を奏でる「舂石音」と呼ばれる演奏をして「 Lus’an」が始まります。

この杵でつく“杵音”は邵族を代表する音楽で、リズミカルで美しい音色が響き、「まもなく新しい一年がやってきますよ」というお知らせとなります。この音色は、日本統治時代、「湖上の杵の音」として“日月潭八景”のうちの一つとされていました。

そして旧暦の8月1日、邵族の新年─。

この日は朝早くから入り口のそばに魔よけの水草を差し、塩分を加えた食べ物を食べないようにします。

そして各家庭では「公媽籃」ともち米をよそったものを祭場に持っていきます。そして祭場で「先生媽」が籠の中の衣類を整理して、先祖に平安を祈願します。

男性たちは笹の葉で腕をこすって厄を払う儀式に参加します。

その後、祭りの会場から「公媽籃」を各家庭に持ち帰った後、「先生媽」が各家に「公媽籃」を祀りに行きます。

そして各家庭では、「先生媽」に感謝の気持ちを込めて準備していた贈り物とお酒を捧げるという流れとなります。これが正月三が日続きます。

実は「Lus’an」はその年によって「大過年」と「小過年」行事に分かれていて、行われる期間が違います。

「小過年」の年は三日間だけ。この「先生媽」が「公媽籃」を祀って、各家でお酒を捧げたら終了となりますが、邵族の言葉で“主祭者”という意味の「pariqaz」、または台湾語の発音で「爐主」と呼ばれる他の部族など外からやってきた人の受け入れ儀式がある年は「大過年」とされ、およそ1か月間続きます。

「大過年」の年には、旧正月の8日に、「祖靈屋」と呼ばれる大きな建物を建て、そこに邵族の代々受け継がれている神聖な盾、「日月盾牌」を祀ります。

そして、1か月間に渡って毎晩、その「祖靈屋」の前に集まり、歌ったり、踊ったりして先祖の霊を祀ります。

祭りもいよいよ終わりとなる前、「pariqaz/爐主」と呼ばれる主祭者が、「日月盾牌」を背負って各家を巡り、幸福を祈願します。

そして、祭りの最後には「祖靈屋」を解体して燃やし、およそ1か月間にわたる祭りが終了となります。

ちなみに、この「祖靈屋」が立てられてから、最後、燃やされ、祭りが終了するまでの間しか聞くことができない祖靈祭の歌があります。その歌は、普段は歌うことを禁じられていて、この祖靈祭の期間だけ歌うことが許されているんだそうです。

ただ、ネット社会の現代、このタブーを理解していない人々が、録画や録音したその儀式をYouTubeにアップして、邵族のタブーを破ってしまうことがあるそうで、不運をもたらしてしまうことを邵族の人たちは心配しています。

もしこの「Lus’an」と触れる機会がありましたら、邵族の人たちの伝統や文化を尊重して、参加してくださいね。

2015年に国家文化資産に認定されているこの「Lus’an」。

邵族は、外部との交わりも多く、様々な影響を受けてきた種族ですが、その伝統と文化は今も受け継がれていて、これからも受け継いでいこうとしています。

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